あの小説やこの詩が自由に読める青空文庫がスゴイ!

Sky

電子本の図書館だ!

青空文庫http://www.aozora.gr.jp/)というサイトには、文学作品が集められています。アーカイブとか電子図書館とか呼ばれているウェブサイトです。もう知っている人も多いと思うんだけど、「聞いたこともない」という人に立て続けに会ったので、紹介します!

青空文庫は「図書館」なので、当然ですが、本がたくさん置いてあって、無料で読めます。ただ、ウェブサイトですから、紙に印刷した本があるわけではなく、スマホ、タブレット、パソコンなどの画面で読むわけです。これがそのホームページ:

 青空文庫トップ

青空文庫トップページ画像

読みかたはお気に召すまま

一番簡単なのは、ブラウザで上のリンクを開き、「公開中 作家別」とか「公開中 作品別」のリストで芥川とか「風立ちぬ」とか探してみて、そのままブラウザで読む方法です。一応、ステップごとになぞっておくと、トップページ作家別た行太宰治走れメロスいますぐXHTML版で読む、ですかね。

もし、「文学作品は縦書きで読むに限る」というこだわりがあるのなら、図書カードの「いますぐXHTML版で読む」のリンクの代わりに「青空inBrowserで縦書き表示」のボタンをクリックしてみてください。ブラウザ上で縦書きで小説が読めます。

縦書きサンプル
縦書き例

青空文庫を使った読書に特化したスマホ・アプリなんかもあります。Android だったら、「青空プロバイダ」で検索して、「縦書きビューワ」で読む、みたいなのをお勧めします。iPhone だったら、「i読書 青空文庫リーダー」とかが人気でしょうか。また、アマゾンや楽天などでも、Kindle や Kobo などの読書端末用に加工したファイルを入手することができます。こちらもタダですよ。

「じっくり読みたいものを探すっていうのもいいし、「あれはどう書いてあっただろう?」というものを確認するとか好きに使えて、しかもタダ!

例えば、今どきの生活の苦しさと重なるところが多いからか、数年前に突如、人気が復活した小林多喜二の「蟹工船」で軍隊が船員のストライキを鎮圧した場面、どんなだったっけと思ったら、青空文庫にGo!

「俺達には、俺達しか、味方が無(ね)えんだな。始めて分った」
「帝国軍艦だなんて、大きな事を云ったって大金持の手先でねえか、国民の味方? おかしいや、糞喰らえだ!」
 水兵達は万一を考えて、三日船にいた。その間中、上官連は、毎晩サロンで、監督達と一緒に酔払っていた。――「そんなものさ」
 いくら漁夫達でも、今度という今度こそ、「誰が敵」であるか、そしてそれ等が(全く意外にも!)どういう風に、お互が繋がり合っているか、ということが身をもって知らされた。

死んだ人ばかりだ(ほとんど)

青空文庫を探しても、村上春樹や又吉直樹といった作家は出てきません。基本的に、青空文庫に入っているのは、死んだ作家ばかりです。しかも、死んで50年経った作家ばかりです。

なぜ、死後50年かと言うと、そのくらい経つと、人は生き還るからです…なわけはない。死んで50年経つと、著作権保護期間というのが失効するからです。作家が生きているうち、そして死んだ後すぐ(すぐと言っても50年間)は、作品は作家の所有物とされますが、著作権法によると、死後50年以降は、もちろん「この人が書きました」という事実は残るものの、書いた文章そのものは公共の財産、だれもが分かち合えるもの、ということになります。

青空文庫に入っているのは、基本的に、公共の財産になったもの(パブリック・ドメインに入ったもの、とよく言います)ばかりです。2016年には、50年前の1965年に亡くなった作家、江戸川乱歩や谷崎潤一郎、梅崎春生などの作家がパブリック・ドメインになりました。元旦には、それぞれ「二銭銅貨」「春琴抄」「桜島」などの代表作が青空文庫で公開されました。

著作権が存続しているにも関わらず、青空文庫に作品を置くことを望んだ作家も何人かいます。また、古い、著作権の切れた外国の作品を新たに訳して青空文庫に置いた、まだピチピチ生きている翻訳家もいます。

手作り感覚満載

今の時代に活躍している作家なら、原稿もパソコンで書いていたりすることが多いでしょう。そういう作家からなら、メールでファイルを送ってもらって、サイトにアップロードすれば、どんどん図書館を大きくすることができます。でも、夏目漱石や森鴎外のころには、まだパソコンはなかった。じゃあ、どういうふうに「吾輩は猫である」や「舞姫」が青空文庫に入ったかと言うと、ボランティアの人がコツコツ入力したり、本をスキャンしたりしたからです。

文学が好きな人、ある作家を愛する人、自分の郷里が描かれた作品を多くの人に読んでほしい人。さまざまなきっかけで紙の本をテキストファイルの形で電子化した人がファイルを青空文庫に送ってきます。その原稿は、別の人が引き受けて本と照らし合わせて校正をし、それが終わると、ウェブ公開用のプログラムで整形されます。関わっている人はみんなボランティアです。つまり、たくさんの人の思いと労力で青空文庫はできあがっています。

発展途上

青空文庫ができたのは、1997年のこと。富田倫生さんという人とその仲間たちが、与謝野晶子の「みだれ髪」などの数作品を電子化してウェブに置いたのがそのはじまりです。

毎日、たくさんの本が世に出るけれど、ごく一部の人気作品以外は、何年か経つとほとんどは絶版になり、全然手に入らなくなってしまいます。限りない空のように広い書架に本を置き、分け隔てのない空の下、だれもが自由に本を読めるようにしたい。その思いが、じわじわと広がって、青空文庫は大きくなりました。

たった一行の詩から千ページを越す小説まであるので単純に数えてもしかたがないかもしれませんが、始まって20年近くたった今は、1万以上の作品を読むことができます。さらに数千の作品が入力や校正の途中の段階にあります。

2代目の代表を務める大久保ゆうさんは、青空文庫の初期から活動に参加してきた人ですが、当時、彼は高校生でした。今の若い世代の中からも、青空文庫の未来を切り開いて行く人が現れることでしょう。あなたも、ぜひ!

CC BY-NC-ND 4.0 This work is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial-NoDerivatives 4.0 International License.