北海道から沖縄まで、めぐるめぐる本のネットワーク。

枯れ葉の上に本

はじめまして。ポレとわこといいます。私は3月のある日まで、あるところで、
「ちょっとおねえちゃん、市バスの時刻表がみたいんやけど…」
「自分で椅子を作ってみたい!」
「交通事故についての、裁判の記録はどこで調べられますか?」
「沖縄の衣装を着るので、髪の結い方を知りたいのですが…」などなどいろいろな町の方のご相談を受け、一緒に探すお仕事をしてきました。どこで?…それは、まちの図書館で、です。

図書館の中 本棚が並ぶ

えっ?図書館ってどんなとこ?

そんな風に思った方もあるかも。そう、19歳でアルバイトに入った私もそうでした。図書館といえば、絵本に小説、料理や買えそうにない美術書(?)など、心惹かれる本を選んで無料で借りられる所じゃないの?そうそう。ですが、実はそれも、先の戦争が終わるまではそうではありませんでした。

戦争が終わるまでは、本は「直接利用者さんに触らせません」といった閉架式本棚(へいかしき…誰でも触れるところにない)の考え方が主流だったり、あらかじめ「これは大衆によくない本だ」「これはとってもよい本だ」などと国とか図書館がチェックして決めてしまう検閲(けんえつ)などもあったそう。戦争が終わって、ああ、図書館も戦争に協力してしまったなあ…という反省から、”ひとつのものごとについてのいろんな視点から本を揃えよう”、”自分たちの頭で考える社会、それぞれのひとが知りたいこと・多くの世界に無料で手がのばせるように、公共の図書館をつくっていこう”という姿勢に変わりました。そんなこんなで、今の姿が生まれたのは、そんなに昔のことではないのです。

あれれ、、、話が飛んでしまいました。いろんな質問の話。

このように本がある所だと、様々なお尋ねが舞い込んできます。「おじいさんが手術をすることになり、詳しく書いたものはありませんか?」と慌てて入ってこられた方、まずはゆっくりお話と状況を聴いて。今わかる範囲の続きは、お急ぎだけどじっくりの場合は預って調べます。5歳くらいの子が「ぼく、面白い本がよみたいんだけれど!」と相談してくれたり。おおお。何が好き?と聴いて歩く。
司書(ししょ・図書館司書)は医療の専門家ではないので、治療の内容には何も言えません。ただできることは、その方の望む〈情報〉はどこにあるだろうと考えて、一緒に探すこと。その情報は、本の場合もあるし、雑誌のときも、ひとや窓口のときも。まちのなんでも屋さん。ひとと何かを結びつける仕事なのだなあと発見する日々でした。

庭を走る貨物列車

探してる本がないときは、どうしたらいいの?

さて、現在ほとんどの図書館は、持っている資料の検索メニューを公開しています(蔵書検索・OPACオーパック)。それでもネットででてこない時、ああ、ここにはない…とあきらめていませんか?いいえ、どうかあきらめないで。図書館にはネットワークがあります。

これは、相互貸借(そうごたいしゃく)といって、自分たちのところで持ってなくても読みたい人に応えるために、お互いに協力しましょう、というサービス。私は卒論を書く時に知りました。アイヌの口づたえの文学(口承伝承)を作品にした知里幸恵(ちりゆきえ)さんのこと。調べているときに、相談をした町の館長さんはちょっと待っててね!といって、沢山のリストを持ってきてくれました。どれ借りる?これ?と、どんどん勧めてくれる。満州帰りで苦労された館長さんは勉強したいという人に手厚くて、私はさすがに全部は読めなかったのですが・笑、びっくりしていると「ここになくても都道府県立図書館が持っていたらそこから借りられるし、別のものはある場所を探してみるよ」と言ってくれたのでした。

借りられるものと借りられないものと、図書館を超えた本のネットワーク

そう。そんなで司書になった私は、北海道から沖縄まで、本をお探ししてお借りしてきました。(本だけではなく、コピーの場合もあります。)わあ、ここにこんなのがあったあっとすごい嬉しい気持ちになって、相手館にお電話します。はるばる海を超えて、お渡しした町の方の顔にふわあと喜びが広がるとほっとしたり。日常的には、小さな図書館を覆うように都道府県立図書館の存在があって、定期的な本の運搬便を回してくれています。

ただ、このサービスでも、借りられないものや応えられない場合も残念ながらあります。壊れそうな貴重なもの、たった一冊しかないもの、雑誌、漫画、CD、予約が沢山の本などなど。そして手間や郵送代がかかることも。新刊書は、発注していて届く前ってことも。ぜひ、個別にご相談ください。

私は、地元の小さな本屋さんを大切に思っていて、図書館の仕事をしながら、そこにも大事な本の世界があることを知りました。沢山の本が出版されても、すぐに消えてしまうような世の中で。キラリン、自分の知りたい、が生まれたら、それをどうぞ大事にしてくださいね。そして、もしこんな本が読みたいながあったら、遠慮せずにたずねてください。そして自分の手で図書館や本屋さんを育てていってくださいね。それでは、本をめぐるお話はまたまた…これにて。ポレポレ。

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