【関西発】ニセ京都人が語る厳選京都の食べもんトップ5

日本庭園をバックに赤の日傘

関東から関西に移住してきたわたしはあっという間に舌が京風におかされてしまった。今では関東の味があまり好きじゃない。というか京都レベルじゃないと和食と思えない。京都といえば「懐石料理」というイメージがあるけれど、そんなものを日々食べているひとはまずいないわけで、ふだんの食卓に上がるものからニセ京都人のわたしが独断で選んだ京都の味5選。

5 とうふとお揚げさん

とうふは世界中に広がっていてどこのも味わいがあるのだけれども、のどごしのよさ、きめ細かさ、大豆の味の洗練のされかたは京都がピカイチだと思う。有名な老舗(しにせ)から街角の豆腐屋さんまで水準は高い。ちなみに「辛子どうふ」というものがあるんだけれど、あれにはビックリ。京都だけなんやろか?これは想像してみてください。

あんかけ豆腐

とうふがうまいということは揚げもうまいということになる。炊きものに入れるのもいいけれど、うちでは揚げをそのまま焼いて(トースターをつかう)、醤油をかけるというシンプルなものが定番だ。このとき、醤油はいいものを。味がストレートに出て、極上のおかずになる。

4 阿闍梨(あじゃり)餅

茶道家元が揃っている京都。茶会用の上等な生菓子だけを作っている老舗菓子店はいくつもある。でも、ふだんから皆がそんなものを食べているわけじゃない。庶民の味は何十年もずっと支持されてきたもの。代表的なのは「ふたばの豆餅」。古びた店の前にはいつも列ができていて、飛ぶように売れていく。豆の塩味、柔らかな餅、粒あんのハーモニー。ずっと変わらぬ味でやってきている。もんだいは日持ちしないこと。お土産には向かないのだ。

で、豆餅と双璧の「阿闍梨餅」を選出。いっけん、どら焼きのような、まんじゅうのような見かけで、噛むとモチっとくる。この皮が阿闍梨餅の秘訣のよう。もち米に卵を足しているとか。で、このモチっとした感触に続いてさっぱりしたあんこが口に広がる。なんていうことのない菓子のようなんだけど、ほかでは味わえない。大正から続くお店のようだ。豆餅vs阿闍梨餅のわたしの調査では、阿闍梨餅への支持が多かった。日持ちも4日くらいするのでお土産にもなる。普段使いと進呈用にと両方になるところがgood なのかも。

大根やかぶ、人参など

3 万願寺ししとう(とうがらし)

野菜部門からは万願寺(まんがんじ)ししとうがランクイン。京野菜には、聖護院大根とか賀茂なすとか九条ねぎとか数々あるのだけれど、わたしはこれが王様だと思っている。ふつうのししとうよりドカンと大きく、形もそれぞれひんまがっていて、肉厚。じつはピーマンとかけ合わせてできたものだそう。辛いのはなくて、ピーマンの青くささもなくて、「ミドリのおいしさ」が詰まっている野菜。夏の京都の味だ。かつお節をかけたりするやり方もあるけれど、うちではこれもただ焼いて醤油をかけて食べる。シンプルイズベスト。万願寺の味だけを噛みしめるのが幸福だ。

もし夏に京都に来ることがあったら、万願寺ししとうを買い求めて家で焼いて食べるのをお勧めしたい。

軒先に風鈴

内緒?の京野菜としては、加茂トマトというものがある。上賀茂トマトとも言う。全国で売っている「桃太郎」という種類とは違って、昔からの露地物。これがまたウマイ。そのまま食べても、ソースにしてもいい。ただ、手に入れるのはむずかしい。あー、食べたいなぁ。

2 だし巻き卵

京料理の屋台骨は「出汁(だし)」。出汁が悪いとすべての料理は台なしと言っていいくらい。各料理屋ではそれぞれ出汁の秘訣を持っている。この出汁をシンプルに味わえるのが出し巻き卵。卵焼きだけれど、出汁をふんだんに入れて塩味で焼き上げる。ふわふわでジューシィで、出汁の味が口に広がる。それで店の技量もよくわかる。ある時、純粋京都人の友だちに「関東では卵焼きに砂糖を入れる」と言ったら、「ホンマですか?気色わるぅ」と言われた。今ではわたしも砂糖入り卵焼きはけったいな=おかしなものに思えるから不思議。味覚の京都化が進んでいる。なお、だし巻き卵のアップグレード版として「う巻き卵」というのもある。これは真ん中に鰻(うなぎ)を入れたもので、高級品。

1 すぐき漬け

栄え(はえ)ある1位に来たのは、最も賛否が分かれそうな一品。

京都の漬けもんの質は高い。関東では漬物を食べなかったわたしが毎日漬物を食べるようになったほどだ。
千枚漬け、壬生(みぶ)漬け、しば漬けなど挙げればきりがない。凝っているひとは〜〜漬けはあっこのもの、××漬けはこっちのもの、と分けて買ったりする。

そのなかでも京都でしか食べられていない(ような)ものが「すぐき漬け」だ。で、「すぐき」ってなんですか?となると説明がむずかしいのだけれど、カブに似たかんじの野菜を想像してみてほしい。漢字だと「酸茎」となる。地中にできる根の部分と地上に生える葉っぱの部分全体を塩で漬ける。そして、暖かい室(むろ)で寝かせる。そうすると乳酸発酵して、すぐき漬けとなる。乳酸発酵する漬物はそんなに多くない。

味はかなり酸っぱいが深みがあり、どの食べものにもないような旨みがある。このすぐき、納豆がダメなひとがいるように好き嫌いがはっきり分かれるとおもうが、ハマると中毒性があるんじゃないかと思うくらい、なくてはならないものになる。うちも常時すぐき漬けを食べている。
純粋京都人のなかにはすぐき漬けを「上賀茂の○○さんち」で買うというくらい、こだわっていたりする。

何年か前にすぐき漬けには善玉乳酸菌のなかでも貴重なラブレ菌というのがあることがわかって話題になった。お腹にもよさそう。

これを読んでお取り寄せなどをした方がいたら、口に合わなくても我慢してください。もしかして、食べ続けると魅力がわかるかも。

番外

というわけで5つ選んでみたけれど、惜しくも番外となったものも書いておこう。鯖寿司、かぶら蒸し、白味噌、ちりめん山椒。そんなところかな。しょせん、ニセ京都人が思いついたものなので、ディープ京都にはもっと別なものがあるかもしれない。(異論があるかたは「コンタクト」のところから意見を送ってください。タイトルは「京都の味」としてね)。

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