なんでこんなことに? 遭難しかけ必死の旅

棚田の後ろに山並み

旅には計画綿密派いきあたりばったり派がいる。綿密派はホテルや行き先、移動手段まで行く前にきちんと詰める。いきあたり派は目的地くらいを決めておいて、後は気ままに風に流されるように動く。自分はどっちだろう? 旅に出る前はかなり情報を仕入れている。特に海外の場合は英語のガイドブックまで買ってまじめに読む。わたしが英語を最もまじめに読むのはこのときだけって気がする。そこで旅程をきっちり決める。ところが、実際に行ってみると旅はいつも思いがけない方向に行ってしまう。

いけないものを見てしまった

インドネシアのある島に行ったとき、棚田が美しい場所があるとガイドブックで知って観光客もいない村まで出かけた。

1枚1枚の田んぼが描く曲線が折り重なり、そこに緑の稲穂がゆれてうっとりする光景が広がっていた。丘の途中にあるカフェ、いや茶店というほうが似合っているところでお茶をしていると、茶店の主人が「ここを登っていくと、もっときれいだよ」と言って裏木戸を開けてわたしたちを招いてくれた。登っていくとどんどん風景がひろがっていく。わーぉ! 一面に広がる棚田に感激しきり。

それでさらに登っていった。見通しもよく、遠くまで見える。そこでふと気づくと背後に小さな集落があった。(こんなところにも住んでいるんだ)。好奇心が働いて、7,8軒の集落に入っていった。小さな子どもとおばあさんがいた。インドネシア語で「こんにちは」とかいくつかの知っている単語で話しかけてみたけれど、反応がない。(通じてないのかな?)もしかして、インドネシア語が通じないのかもと思ったりもした。インドネシアでは島ごとに独自のことばがあり、インドネシア語じたいは学校で教わる。よそ者だからか?視線が冷たい

なんか気まずい感じになって、もう少し進んでみた。丘の上に畑みたな場所があって、草が生えていた。それを見ていて、ハッと気づいた。(これってもしかして大麻?)旅の連れも「これは大麻やろ?」と言う。あの集落の人たちが栽培しているんだろうか?見てはいけないものを見てしまった!困った感がひろがる。後戻りしてあの集落に行くのはちょっとマズイかもしれない。

どうやって降りる?

仕方なく前進することにした。次は茶色い牛が20頭くらい放牧されていた。もちろん、柵も何もない。牛って目の前にいるとかなり大きい。人気(ひとけ)もないのでさらに怖い。牛を刺激しないようにそーっと脇を抜けて歩いた。もう前進するしかない。

草地に何頭かの茶色い牛

前進すれば、どこかで丘を降りる道があるだろうと思っていた。

が、甘かった。ジャングルとまではいかないけれど、熱帯の丘は植物でもじゃもじゃ状態。その中をひと筋の道が通っている。が、歩けども歩けども外界に降りる道は出てこない

だんだん焦ってきた。暑いというより湿度が高くて汗がしたたる。その汗の中に冷や汗が混じっているかんじ。(こんな低いところで遭難か?)。いやーな考えが浮かんでくる。(食料もなんにもない!)。寒くないのだけが救いだ。とにかく前進を続けた。

熱帯ジャングル

どれくらい歩いたのかわからない。気分がもうろうとしてきたときに、ソレを見つけた。

小川とは言えないような細い水の流れ。水かさも5センチもないくらい。(これしかない!)。靴のまま水に入り、水の流れとともに下に降りた。幸い滝とか急勾配もなくて、それほど苦労しないで降りることができた。

丘を降りきり、車道まで出たときの安心感といったら! その地点は最初にいた茶店からは相当離れた場所だった。あー、危ないところだった。

宿に戻って、ガイドブックをちゃんと見ると、

トレッキングにはうってつけの場所。ただし、必ず地元のガイドをつけるように。

と書かれていた。やってしもうた

わたしの旅はこんなことが多い。京都市内でも遭難しかけたことがある。それはまた別のときに。

CC BY-NC-ND 4.0 This work is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial-NoDerivatives 4.0 International License.