霧のかかった大地 草に覆われているが空も何も見えない

僕のおじさん

 某大学を一カ月でやめ、田舎に帰って浪人をしていた頃、親戚のおじさんからあるバイトを頼まれた。今までのバイト人生を振り返ると、これが一番印象に残っているので、ここで紹介しよう。
 おじさんの仕事は建築・土木関係の手配師である。元来陽気な人柄で、子供の頃からなぜか大好きだった。「世紀の無責任男」とか「スーダラ節」で有名なコメディアン・植木等を知っているだろうか?いかりや長介のドリフターズのさらに一時代昔、お笑いグループ・クレイジーキャッツのメンバーである。おじさんは、そのテキトーさ加減が絶妙で、僕には植木等の姿と重なって見えていた。
 小学生の頃、おじさんと一緒に風呂に入った時のことだ。「アッチャン、これ!」と僕の目の前でケツを見せながら、「痔はつらいなあ」と大きく足を開いて笑うような、文字通り開けっぴろげで陽気なおじさんだった。

イランでバイト?

 おじさんには高校時代にもいろんな現場のアルバイトを紹介してもらった。建築現場の内装工事手伝い、高速道路のフェンス工事、駅の自転車置き場の工事などなど。高校を出たらイランの石油化学プラント建設の現場へ行ってみないか、なんていう話しもあったな。とにかくイランの現場に行けば、思い切り稼げるらしい。続きを読む

三日月

アポロと僕たちのロケット

僕が小学生高学年だった頃、友達の一人が模型店でロケットを買った。
うらやましかった。
結構な値段なので、お金のない子は買えない
直径約2センチ、長さは20センチくらいの小さなものだが、 ケロシンを燃料にほんとに空を飛ぶらしい。もう一人友達を誘い三人で近くの長良川の河原で打ち上げ実験をすることになった。

この年1969年7月にアポロ11号が月面に着陸した。
人類初の月面着陸に日本中、いや世界中が興奮していたと思う。
人が初めて月に降り立つところを見ようと、みんながTVの前にかじりついていた。小学校でもアポロブームは凄まじかった。
そんな興奮状態の中、僕たちはついにロケットを手に入れた。
僕のモノではないけれど・・・・、しつこい!
とにかく飛ばしたい、空へ向けて、宇宙へ向けて飛ばしたいと、放課後、河原に走った。
ロケットはロケット花火とは違う。全然違う。ボンジョビと盆提灯ぐらい違う。だから打ち上げ準備は緊張した。無人ロケットとはいえ僕たちは打ち上げクルーなのだ。

宇宙に向かうロケット(ソユーズ号)

手順を確認し分担を決める。燃料のケロシンをタンクに充填する役、ロケットに点火する役、近くに人がいないか確認する役。たった3人なのでこれだけなのだが、とにかく初めての打ち上げだ。各人がしっかりと役割を果たさなければ成功すらおぼつかない「ミッション」なのだ。
広い河原には僕たち3人だけ。安全性は確保されているな、と勝手に決め込み、秒読みが始まった。
アポロの影響でカウントは英語だ。
テン、ナイン・・・・スリー、ツー、ワン、ゼロ!
導火線への着火・・・成功。

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