巨大な岩山が連なる荒れた大地に豆粒のような人間2人

 SFに、科学の進歩に対する「恐れ」がなければ単なる絵空事になってしまう、と言ったのは黒澤明だ。その観点から、黒澤はA・タルコフスキーの『惑星ソラリス』を「怖い映画だ」とほめたのだった。『ソラリス』は未来を、ディストピア(ユートピアの反対、人間が人間らしく生きられない暗黒の世界)のように描いているわけではない。だが、観る者にふるさと地球への郷愁を呼び起こさせながら、「人間」自身のこともまだわかっていない人間が「宇宙」へ飛び出してどうするというのか、と問いかける。人間のごうまんを叱るような、哲学的な映画である。

 

 2012年のSF映画『プロメテウス』は、そんな哲学的な難しい話でなく、ドキドキハラハラしながら楽しめるエンターテイメント。でも、実はこの作品にも、「人間」をめぐるけっこう深い問いが隠されている。
 この映画は、『エイリアン』の監督リドリー・スコットが、『エイリアン』の前日譚、または背景にある物語として企画したもの。別の監督で『2』『3』…と作られていった地球人VSエイリアンの続編シリーズとは趣旨が違う。エイリアンも登場するけれど、それよりもそれを作った宇宙人たちに焦点を合わせているのだ。

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