『かめくん』書影 グレイにオレンジ色で書かれた少女が振り返っている

 北野勇作(きたのゆうさく)の『かめくん』(河出文庫)はとても不思議な小説だ。かめくんはクラゲ荘という木造二階建てのアパートに住んでいる。アパートの管理人、ハルさんには「なんだ、カメかい」なんて言われもしたけど、入居できたのは、ちゃんと仕事をしているからだ。ふだんは倉庫作業員としてフォークリフトを操作しているが、ときに木星からの荷物に紛れ込んでくる巨大生物ザリガニイと戦ったりもする。仕事帰りには、駅前の商店街で買い物をする。休みの日には図書館に行く。図書館にはミワコさんがいる。レプリカメの研究をしているミワコさんにかめくんはときどき協力する。
 
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