『小さいおうち』表紙 オレンジ色の地にクリーム色の円。中に男性と女性。

 『かめくん』を読みながら、戦争と日常というテーマについて考えているとき、思い出したのが中島京子(なかじまきょうこ)の『小さいおうち』(文春文庫)だ。2年前(2014年)山田洋次監督によって映画化されたので、知っている人も多いと思う。『小さいおうち』も戦争と日常の関係を考えるうえでおもしろい小説だ。
 

 昭和の初め、尋常小学校を卒業し、山形から上京したタキは、女中として平井家に奉公する。平井家は、おもちゃ会社の重役である夫と若く美しい妻の時子、小学生の息子恭一の3人家族。その家族が住んでいるのが東京の郊外にある赤い三角屋根洋館、すなわち「小さいおうち」である。タキはそこを「終の棲家(ついのすみか)」と思い定めるほど、大好きだった。続きを読む